magcupの日記

何でも引き付けるカップ、magcup

カルト、バランス駆動

ヘッドホンのバランス駆動(平衡ドライブ)、やってみたい衝動にかられるのだけれど、ちょっと落ち着いて考えれば「低温処理線」と同程度のトンデモというか、カルトである。
一般に平衡伝送のメリットは、三つあって、ノイズキャンセルとアース電位の変動防止とダイナミックレンジの拡張(と言っても電圧で二倍)である。100メートル引っ張るなら、あるいは、マイクロホンのようなマイクロボルト出力なら、まだしも、、、。ボルト(V)オーダーの、それも1、2メートルのラインで平衡伝送をやろうとするのは、ノイズキャンセルに関しては、やっぱりカルトとしか思えない。まあそれが楽しいのだろうけれど。
結局、ヘッドホンのバランス駆動は実質的に、グランドを左右別々にしてクロストークを減らすだけなので、トランスを一発かますか、反転増幅器を増設すれば実現できる。
しかし、果たして現在市販されているバランス駆動アンプで、何割くらいが、右のホットと左のグラウンド(あるいは左のホットと右のグラウンド)がちゃんと切り離されているか(=なんちゃってバランスコネクタでないかどうか)知りたいものだ。

ところで、手許にあるゼンハイザーのHD25-SPIIのケーブルは邪魔に長いうえに、LR完全独立になっていて、いかにも「バランス駆動して下さい」、と言わんばかりの体である。しかし、LR独立ケーブルのおかげで、そのままでもクロストークは全くない。
これに対して、SONYのMA900とかCD900STでは、片側を絞ると、反対側からの音がバリバリ聞こえる。グラウンド電位が変動したためなのか、左右の撚り線間のストレー容量による漏れなのかは不明である。バランス駆動を賞賛している人々は、バランス駆動自体に意味があるのではなく、左右独立ケーブルの方がずっと大事なことに気が付くべきである。だから、せっかくの「高価な」バランス駆動アンプでも、出力コネクタが左右共用の4ピンだったりしたのでは全く意味がない。仰天したのは、何万円という高いケーブルの左右が一緒に撚り線になっていたことである。