magcupの日記

何でも引き付けるカップ、magcup

行政電話網

行政窓口の電話番号のことではない。1980年代中頃に試験的に始められた行政機関同士の内線直通電話である。当時、多くの省庁・機関はダイヤルイン化しておらず、外部へかける際も交換台を通していた。部署によっては、たとえ仕事の電話であっても課金が行われていたりした。特に地方の機関へ頻繁に電話をすることは、金銭面からも手間からも、非常に大変であった。
これでは不便である!
と、政府担当者は思ったかどうかは知れないけど、magcupは思っていた。するとある日、上司のK先生がやって来て、

magcup君、事務からこんな書類が回ってきたよ。「行政電話」っていって、○×△番をダイヤルすると、
別の機関の内線へ直通でかかるみたいだ。どんどん使えって書いてある。
どこかかけてみるか?

と言っても用事も無しにかけられる国家機関に勤める友人などいるわけがなかったのでそのまま放置になった。そうしたら、、、

半年くらいしたある日。部屋の電話がいつもと違う鳴り方をした。びっくりして受話器を取ると、何と、通産省からの直通電話、つまり、行政電話だった。
そして声の主は、magcupの幼稚園からの旧友で、当時、某県の県庁から通産省へ出向していたキャリアのY君だ。用事はと言うと、

N88のDisk BASICで、サイズが大きいファイルを強制的にコピーするコマンドなんだっけ?

「え、それが行政電話で話す内容かよッ!」と突っ込みたくなったが、電力行政の中枢にいたY君は大真面目で、

今、発電所のプログラムが動かねて困ってんだて。産学連携だすけ、いいろがね! あ、産学じゃね~て、官学らね。(ママ)

magcupもちょっと緊張したので、「何でMS-DOS版でなくてDISK BASICなんだよっ!」と言う突っ込みは止めて、素直に、COPY2コマンドを教えてあげた。Y君も喜んでいたので良かったと思う。

その後、行政中枢の方で「あまり下々の機関に行政電話を使わせたくなくなった」らしく、行政電話はあまり流行らなくなった。行政電話をかける際のプレフィクスも公ではなくなってしまった。さらに方々でダイヤルインが普及し、行政電話自体、消滅してしまったような気がする。
今日、Googleで検索しても、行政電話=行政の窓口の電話、と言う記事しか見つからない。

【後記】
注意深く検索すると以下のような四つの記事が見つかった。

  1. 行政電話網の現状と課題(三武勲)
    • 自治研究 63(5), p71-85, 1987-05-00
  2. 行政電話網番号簿〈昭和57年度版〉
    • (1982年)、行政管理庁行政管理局
  3. 造幣局のあゆみ平成22年7月
    • 昭和58年(1983)10月15日「行政電話網利用開始」
  4. 阪神・淡路大震災における行政相談活動等に関する調査研究(全国行政相談委員連合協議会)
    • (申出要旨)

震災にあったので、一時京都市内のホテルに避難している。手元に郵便局の定額貯金があるが、貯金後6か月も経過していない。それでも解約できるか。

    • (措置結果)

本件は、震災当初にあった事案であり、また、問い合わせは日曜日であったことから、郵便局に照会できない状況にあったが、次のような措置がとられた。
近畿郵政局であれば担当者が出勤しているのではということから、また、当時はNTTの一般回線では繋がらないことから、行政電話網を利用して照会がとられた。
近畿郵政局では担当者が在局しており、中途解約出来ること、利子も後日になるが当初の契約利率で支払ってもらえることが判明し、この結果は早速申出人に連絡された。