magcupの日記

何でも引き付けるカップ、magcup

スイス行き─出発、映画hanami

成田ではまたe-ticketの自動チェックインが出来なかった。Swiss Airはダメだとのこと。JALANAも含めて今まで一度も出来たことがない。いやはや。出国審査で指紋による自動審査を登録した。しかしパスポートを更新するとやりなおしだとのこと。【後記】それに帰国時の入国審査は自動にならない、、、orz。
機内上映の映画Kirschblueten (Hanami)を見た。日本未公開であるが各所で評判が高い。英語字幕だけだったのでたどたどしい理解なのだがメモしておく。思い出しても泣けてくる映画だ。
余命宣告をされた夫に旅行をさせようと、妻は夫を連れて子供たちの家を訪ねるが、昔の田舎料理を作ってやろうとしたりして、おきまりの状況でうるさがられる。加えて子供達に何やら複雑な事情もあるらしい。夫婦はベルリンを見物しようと地下鉄に乗ろうとするが券売機で切符が買えずにいらいらしたり、子供たちの冷たい対応にがっかりしたりしつつ、今度は海辺の町へ旅を続け、そこのホテルで妻の方が夫よりも先に急逝してしまう。
夫ルーディはショックの中で妻の遺品を整理していると、日本の着物や富士山、北斎が好きだった妻は日本の前衛舞踏に傾倒していて舞踏家への夢があったことを知る。
妻の好きだった日本を知るために、東京で仕事をしている息子の一人を訪ねることにする。ルーディは息子が独り暮らしをしているマンションでも邪魔もの扱いされるが、東京でいろいろ見物しているうちに、息子の会社の花見に連れて行かれ、桜の美しさに惹かれる。その花見の行われた井の頭公園を何回か訪ねるうちに、妻の好きだった舞踏を踊るユウと言う少女と知り合いになる。母親を最近亡くしたという少女に、舞踏を教えて貰っているうちに彼女と親しくなったルーディは彼女がどこに住んでいるのか後を付けて行き、ホームレスであることを知る。
息子のマンションに引き返すと、「もう父と一緒の生活は沢山だ」という息子の携帯電話での会話を聞いてしまい、独りでマンションを後にする。ユウと一緒に富士山を見に伊豆急行で出かけ、富士山の近くで投宿するも、天気が悪く富士山は何日もの間、全く見えず、ルーディはがっかりしてしまい、おまけに夜中に熱を出し、ユウに看病される。
その明け方、薄暗い中で富士山がくっきり見えるのを窓から覗いたルーディは、いてもたっても居られなくなり、舞踏の化粧をして、妻の着物を纏い、富士山めがけて走っていく。湖のほとりに着き、独り狂ったように踊り始めると、いつしか傍らには妻が寄り添い、一緒に踊り始めるのであった。まるで能楽のキリ舞(クライマックス)のようだ。
翌日、ルーディの遺品を整理していたユウは、『ユウへ』と書かれた封筒に入れられた大量のユーロ紙幣を見つける。その後、かけつけた息子と、火葬、骨拾いに立ち会い、一緒に東京に戻ったユウは息子のマンションの前でただお辞儀をして別れる。最後のシーンは、兄弟全員が集まり、骨壺を墓に埋葬するシーンと、『父さんもおかしなことをしてくれたものだ』とあきれながら話す兄弟たち。
井の頭公園や中央線、新宿の猥雑な夜、近所の八百屋の描写なんかが面白い。監督は絶対に寅さんとか小津作品を見ているに違いないと思った。そもそも前半主題からして『東京物語』そのものだし。【後記】実際にリメークなのだそうだ。
老夫婦の愛を描いている作品であり、日本でも最近亡くなった城山三郎の亡き妻を想う手記が出版されたりして、タイムリーなので、絶対、反響が大きいと思うのだが唯一残念なのが、日本の前衛舞踏"Butoh-dance"の表現。顔を白塗りにして薄い着物で乱舞するのは、確かにそういうジャンルがあった気がするのであるが、最初にリマインドされてしまうのが志村けんさんの殿様姿である自分自身がこれまた残念。【後記】これが国内配給の実現を阻害しているような気がする。
P.S. どこかのブログで、きっとお若い方だとは思うが、「でもやっぱりあった。違う! というところ。火葬場で納骨するシーン。少なくとも私はああいうのは一度も見たことありません」と言う記述を見つけました。納骨ではなく、骨拾いですね。納骨は骨壷をお寺へ収める儀式で火葬場では行いません。火葬場での骨拾いはたいてい、親子か実の兄弟などごく近しい血族で行われるのが普通なので、若い人は見たことがなくて当然ですね。私も骨を拾ったのは母のと祖母のと二回だけです。母の方が先でしたが、、、。